私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに体内に「抗体」がつくられ、これら外敵をやっつけようとする「免疫」というしくみがそなわっています。
ところが、この免疫のしくみが、食べ物や花粉など私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ!」と過剰に反応して、攻撃をし過ぎる結果、逆にマイナスの症状を引き起こしてしまうのが「アレルギー」です。本来は体を守るはずの反応が、自分自身を傷つけてしまうアレルギー反応に変わるのです。
2014年の花粉飛散量は少ない見込みですが、水戸は周囲に杉山が多く日本では有数の花粉飛散地ですので、毎年花粉症の出る方は、安心せずに2月ごろより抗アレルギー剤を内服することをお勧めいたします。
年によって花粉症が出たりでなかったりする方は今年は軽く済む可能性があります。
花粉症を発症すると、くしゃみ、水鼻、頭痛、睡眠不足などなど起き、集中力をかいて仕事や勉強に支障を来たします
交通事故の原因にもなっており新しい国民病とも言われています。
国民の2~3割がスギ花粉症と推定されており、2008年の全国調査では有病率が約27%、10~50代では30%を超えました。5~9歳でも約14%で、1998年の同様の調査の1.8倍に増えているようです。
花粉とNOxとがくっつくと抗原として強くなるといわれています。また中国からの黄砂も花粉症悪化の原因になっているようです。今後はPM2.5の影響も危惧されています。
花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の縁のかゆみなどで始まります。こんな状態が続くと、夜もぐっすり寝られなくなり頭痛、頭重感、睡眠不足が出てきます。
緊張状態の時には、アドレナリンが亢進していて鼻の粘膜が収縮し、酸素を取り入れやすくなっていますが、夜になると鼻が詰まってしまいます。
花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水のように15分くらいで起きる即時相反応と、鼻づまりのように6~10時間後に起きる遅発相反応に分けられます。昼間に花粉を浴びると、寝る頃になって鼻が詰まって寝られなくなります。
スギ花粉症が学会で発表されたのは、1963年だそうです。1976年、1979年に関東で大量の花粉が飛び患者が急増し、多くの人に花粉症が知れ渡りました。
都市部の花粉には、環境汚染物質(アジュバンド物質)がくっついていて、この物質の影響で体が不適切な活性化を起こし、過剰反応することで、アレルギー疾患を悪化させているそうです。
環境汚染物質(アジュバンド物質)は、代表的なものがディーゼル排気微粒子で、他にはホルムアルデヒド、プラスティック容器の可塑剤などがあります。
花粉などのアレルゲンと環境汚染物質(アジュバンド物質)は、別々に投与しても過剰に反応するケースもあるようです。
アレルゲンとしての花粉の量だけでなく、環境汚染物質(アジュバンド物質)と共存することで、アレルゲンの質が変化し、花粉症や他のアレルギー疾患はもっともっと現代人の脅威となっています。
今後は、量、質、毒性影響からくるかく乱影響、単独汚染から複合汚染への影響の変化に注意していかなければならないそうです。
上記に当てはまる人が花粉症を発症しやすいそうです。
スギの花粉が増えたこと、衛生状態が良くなり赤ちゃんの時の感染症が減ったことが、花粉症が増えたことの一因となるようです。
花粉症患者は、30~40歳代の女性に最も多く、この年代の約4割の人が、花粉症に罹っているとの統計があるようです。
IgE抗体は、0.7以上だとアレルギーとみなされます。0.34から0.7までが予備軍となります。
花粉を浴びないようにすることが、効果的です。そして、花粉症になってしまったら、早めに専門医にかかり対処することです。
花粉の種類は様々で、春のスギ、ヒノキ、初夏のカモガヤ、秋のブタクサ、ヨモギなどがあります。
外出時は、マスク、メガネ、帽子、コートなどを着用し、家の中へ花粉を入れないようにします。また、洗濯物も、外に干さないようにします。マスクの外側に吹きつけて花粉を付きにくくするスプレー、マスクの内側を除菌・消臭するスプレーなどが売れているそうです。
子どもの場合、花粉症と思っていたら、副鼻腔炎だったというケースも少なくないようです。適切な治療を受けるためには、早めに専門医を受診することが大切です。
自分が、どんな花粉のアレルギーを持っているのか知っておくと、花粉の飛ぶ時期に対処できます。複数の花粉にアレルギーがある場合もあります。
花粉症の治療は、抗アレルギー薬とステロイド・副腎皮質ホルモンの点鼻薬を併用するのが一般的だそうです。昔は1ヶ月前から花粉症の薬を飲んでいましたが、今では早くから飲む必要はないそうです。
花粉が飛び出した頃や、症状が出始めた頃からで良いそうです。病院によっては、1ヶ月分の薬を出してくれる所もあるようです。しかし、こまめな薬の調整が必要な場合は、もっと通院が必要かもしれません。
眠気の少ない薬をシーズン中、2ヶ月間計4回通院し、2週間分を院外薬局でうけると、診察なども含めての自己負担は、3割負担の人で、約1万円かかるようです。
ロイコトリエン受容体拮抗薬を夕食後に服用すると、良い状態で夜を迎えぐっすり眠れるようです。
鼻の粘膜を焼く手術には、炭酸ガスレーザー手術と、アルゴンレーザー手術などがあります。
最新のレーザー治療法(MLLT)は、従来のレーザー治療法をさらに改良した、光融合型レーザー法で、40~60℃の熱で粘膜が破壊されるギリギリの手前で止めます。両方の鼻で約2分で終わります。3~7日で効果が実感できるという即効性があります。そして、効果は、以前の時間をかけて焼いていた時と同等ということです。1~2年の効果があります。保険適応で約7000円ということです。
このレーザー治療法(MLLT)は、子どもや妊婦さんにもできるようですが、医療機関や患者さんの状態によっても可否があります。ペースメーカー使用者は注意が必要です。また、当分は飲酒や運動は控える必要があります。設備の整った医療機関でのみ行われています。
シーズン前にレーザーで鼻の粘膜を焼く治療は、通院を含めて約1万円程度で、薬も時々使うそうです。効果は1年ほどでなくなります。
鼻の矯正手術とは、鼻中隔が曲がっている人・鼻中隔湾曲症の人に行われます。鼻中隔の軟骨を抜く手術もあるようです。
手術は、花粉の時期を避ける方が良いそうです。手術で粘膜が傷つくからです。
減感作療法(花粉エキスを濃度を上げながら、しだいに体を慣れさせます)は、通年の治療で、2、3年続ければ、他の治療法より効果が高いようです。最初の検査に3000円、注射1回当たり診察も含めて700円程度かかります。1年目は最初の4、5ヶ月は週1回、その後は2週間に1回の通院、2、3年目は1ヶ月に1回に減るそうです。
舌下にスギ花粉を入れて体を慣らしていくものです。
食パンを小さくちぎり、その上にスギ花粉エキスを垂らします。舌下にこのパンを入れて、2分おきます。そしたら、パンを出して終わりです。1日1回約1年間続けるそうです。
口から継続的にスギ花粉を入れることで、IgE抗体を抑制する物質が出てくるそうです。
300例の内8割の人に症状の改善が表れました。この舌下免疫療法は、近日中に保険適応になる予定ですが、すぐに効果が出るものではありません。し、絶対効くものでもありません。
日本医科大では、142人に実施し、8割の人が改善したそうです。横浜市都筑区にある都筑メディカルクリニックでもSLIT(スリット)減感作療法(舌下減感作療法)が行われています。
繰り返し花粉を浴びると鼻の粘膜が過敏になります。初期療法を受け、ヒスタミンなどの化学伝達物質を抑えることで症状を抑えることができます。
抗ヒスタミン薬の第二世代は、眠気などが少ないようです。しかし、車の運転には気をつけてください。肝障害などの副作用もあります。
点鼻薬のステロイド薬は副作用は認められません。が、たまに鼻血を訴える人があるようです。
鼻噴霧用ステロイド剤は、鼻づまり、くしゃみ、鼻水、目の症状にも効果があります。毎日使うことで効果が出ます。注意点としては、鼻中隔には血管が詰まっているので、小鼻の少し外側に向けて噴霧すると鼻血を出さないことにつながります。
最近、身近でりんごが食べられない人、みかんが食べられない人、果物の殆どが食べられない人が増えています。
口腔アレルギー 症候群といわれ、特定の果物を食べると、口の周りや口の中や喉の奥がイガイガとかゆくなったり、腫れたりするそうです。また、じんましん、吐き気、腹痛、下痢、気管支喘息の発作を起こすこともあります。重症の場合はショック症状を起こすこともあり、口腔アレルギー(以下口腔アレルギー)は油断がなりません。
口腔アレルギーを起こす物質が、花粉と果物の中に含まれているものと類似しているために起こるそうです。
野菜が嫌いだとか、調理が面倒だとかで野菜を食べてないから、果物でビタミンを摂ろうと多量に果物を食べ、ジュースを飲んでいると、果物のアレルギーを起こしてしまうそうです。
そこで、農薬の少ない国産の果物を、季節ごとに少量、味わいながら食べる方がよいようです。ビタミン類は農薬の少ない野菜を充分に加熱調理し、野菜の味噌汁やスープを摂ると良いです。
果物は熱を加えるとアレルギーが起こりにくく、離乳食で果物を使う時は、生よりは煮る方が良いそうです。
シラカバ、オオヤシャブシ、コナラの花粉症の人 | シラカンバ花粉症の約50%弱が、口腔アレルギー症候群になっているそうです。原因となる食物は、バラ科のリンゴ、ナシ、モモ、サクランボが主です。 他の果物では、プラム、メロン、スイカ、アンズ、バナナ、キウイ、ビワ、アボガドなど。 ナッツ類では、ヘーゼルナッツ、アーモンド、クルミ、ピーナッツなど。 野菜では、セロリー、ナス、ニンジン、ジャガイモ、キュウリ、トマトなど。 口腔アレルギー症候群の約80%は複数の原因食物を持っていて、次第に数が増えていくそうです。 |
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ブタクサの花粉症の人は、 | ウリ科のメロン、スイカ、やバナナ |
ヨモギの花粉症の人は、 | セリ科のニンジン、セロリ、やピーナッッやリンゴやパセリ |
カモガヤの花粉症の人は、 | 小麦、ライ麦、トウモロコシ、やジャガイモ |
スギ、ヒノキの花粉症の人は、 | トマトに気をつけて欲しいです |
花粉症の人は、自分のアレルギーの原因物質を知り、果物や野菜の口腔アレルギーとの関連を知り、症状を見ながら上手に避けることも大切です。
外出時では
室内では
アレルギーを起こし易い食材
1.異種たんぱく
2.消化しにくい食材
3.生もの
4.いろいろな種類のアミノ酸が規則性をもって類似構造、同一構造を何度も示すたんぱく質
上の4つのことを、一言でいえば、毎日同じものを食べるとアレルギーを起こし易いです。 イギリス人には、紅茶のアレルギーが多く、ドイツ人にはジャガイモのアレルギーが多いそうです。
アクの強い野菜は一般的にアレルギーを起こし易いそうです。「仮性アレルゲン」とは、食品そのものに、じんましんなどのアレルギー症状を起こす化学物質が含まれているものをいいます。アレルギー症状が出ている時には、仮性アレルゲンの食物をなるべく食べないようにしたほうがよいそうです。
含まれる化学物質 | 食品 |
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ヒスタミン | ほうれん草、なす、トマト、牛肉、鶏肉、エノキダケ、発酵食品(パルメザンチーズ、ブルーチーズ、赤ワイン、みそ、しょうゆ)、鮮度の悪い青背魚(サバ、カツオ、マグロ、イワシなど) |
アセチルコリン | トマト、なす、たけのこ、ピーナッツ、里芋、松茸、山芋、そば、くわい、多くの野菜・果物 |
セロトニン | トマト、バナナ、キウィ、パイナップル、メロン、アボガド、プラム |
イノリン | サンマ、冷蔵のタラ、塩漬けのサケ |
トリメチールアミン オキサイド |
カレイ、タラ、スズキ、イカ、タコ、アサリ、ハマグリ、エビ、カニ |
チラミン | チーズ、ワイン、チョコレート、アボガド、プラム、バナナ、ナス、トマト、鶏レバー、ニシン酢漬けなど |
フェニルチラミン | チーズ、赤ワイン、チョコレートなど |
大豆油のアレルギーは、油が酸化する過程でできたアルデヒド類が他に食べたたんぱく質と結びついて抗原性を示す、こういうものをハプテンと言います。
都会にスギ花粉症の人が多いですが、排気ガスに含まれるディーゼル粒子が、スギ花粉と結びついて、スギ花粉症を起こしやすくしていることがわかりました。この場合は、ディーゼル粒子がハプテン。
スギ花粉症は、赤土、中国の黄土も引き金になっているそうです。
卵 | 生まれて初めて離乳食として食べた時、または2~3回食べた後に起こります。母親がたくさん食べ母乳を飲ませて症状が出ることも。 |
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牛乳 | 生まれて初めて人工ミルクを飲んだ時発症することも。日本人の8割が乳糖を分解できないといわれています。そういう人が牛乳を多量に飲むと発症します。妊婦、授乳中の母親、アレルギー体質の人は要注意です。 |
小麦 | すべての年齢層で起きます。思春期の「運動誘発性アナフィラキシー」では、小麦が原因になっていることが目立つそうです。パン食は、副食に油、砂糖、添加物を食べ過ぎることになるので、素材を大切にした和食がよいようです。 |
ピーナッツ | ピーナッツバタークリームを頻繁に食べている家庭に生まれた赤ちゃんは、ビーナッツアレルギーを起こしている可能性があります。 |
ココナッツ | アイスクリームに使われているので、アイスクリーム好きの家庭では、ココナッツのアレルギーを起こしていることがあります。人工ミルクにも同じ油が使われています。 |
そば | アナフィラキシーを起こすことで有名な食品。ソバは大半が輸入品で、ポストハーベスト(収穫後に使用された農薬の残留)の問題があります。ソバ好きの妊婦さんから生まれた赤ちゃんがソバアレルギーを起こしていることもあります。 |
チョコレート | チョコレートは、仮性アレルゲンであり、むくみを起こし、アレルギー症状を悪化させます。ニッケル、クロムを多く含んでいるので、金属アレルギーがあると、チョコレートでアレルギーを起こすことがあります。 |
ゼラチン | 予防接種に含まれるゼラチンでアレルギーを起こす子が増えています。ゼリー、グミキャンデー、ゼラチン入りヨーグルト、牛乳、牛肉の多食には注意が必要です。 |
エビ | 「運動誘発性アナフィラキシー」の原因になります。輸入エビに使われた漂白剤(亜硫酸ガス)で、口唇が腫れあがる人もいます。エビのアレルギーの人は、カニ、シャコエビ、コエビ、アミなどにも反応することも。 |
果物・野菜 | バラ科 リンゴ、イチゴ、ナシ、モモ、スモモ、プラム、サクランボ、アーモンド ウリ科 メロン、スイカ、カボチャ、キュウリ ミカン科 オレンジ、レモン、グレープフルーツ バショウ科 バナナ マタタビ科 キウィフルーツ ユリ科 ニンニク ナス科 トマト、ジャガイモ、ナス、ピーマン、トウガラシ、シシトウ、クコの実 同じ科のものにはアレルギーを起こしやすくなります。 *バナナは、農薬漬けのものが多く、果肉まで農薬が染み込んでいます。 *キウィフルーツは、果物の中ではとくに強いアレルギーを引き起こします。 |
ゴム | ゴム成分の溶け出しやすさは、アレルギーの起こりやすさと関係しています。赤ちゃん用の乳首はあまり溶け出さないようです。おしゃぶりのゴムは微量溶け出すようです。風船、輪ゴム、ボール、家庭用ゴム手袋、ゴムの人形などは溶け出しやすいので、触らないようにします。 *ゴムと共通抗原のあるものは、バナナ、アボガド、クルミ、キウィフルーツ、イチジク、パパイヤ、ピーナッツ、ジャガイモ、トマト、シラカバ花粉 |
魚 | 1990年頃から魚アレルギーが急増しています。魚は海の汚染の影響を受けます。油の多い魚はアレルギーを起こしやすいようです。酸化した魚の油はアレルギー反応を強く起こします。 卵アレルギーの人は、イクラなどの魚卵にも注意が必要です。 |
寄生虫アニサキス | アジ、ニシン、イワシ、サバ、サンマ、スケソウダラ、イカには、アニサキス幼虫という長さ20~40mmの糸状の寄生虫が着いていることがあります。魚が好きな40歳以上の人に多くみられ、魚アレルギーではなくアニキサスにアレルギーがあります。 |
貝(特にラパス貝) | ホタテ、カキ、ツブ貝などで発症。ラパス貝(チリ産アワビ、チリ産トコブシ、学名ダイオウスカシ貝)初めて食べて発症する人が。みやげ物は、商品表示を良く見て買いましょう。 |
ゴマ | ゴマはビタミンEなどを含み栄養価が高いが食べすぎには気をつけましょう。 ゴマ油を使うとアレルギーを起こしやすくなります。 |
香辛料 | ニンニクやコショウは、食べ過ぎるとアナフィラキシーの原因になります。 |
「暴走するアレルギー アナフィラキシーに負けない本」 角田和彦(かくたかずひこ)医師 坂総合病院小児科長 彩流社刊 2000円+税 1999年7月発行
お子さんのアナフィラキシーを経験され、実体験に基づいて研究されたので、わかりやすく、実行しやすく書いてありますから、アレルギーをお持ちの親御さんにはぜひ一度読んでいただきたい本です。
大豆の中にあるグリシンというアミノ酸が、大豆のたんぱく質で一番強い抗原性を示します。
グリシンがダニのたんぱく質によく似ているので、大豆がダニのアレルギーを引き起こしている可能性があります。
大豆アレルギーの人は、パイナップルを食べると口が痒くなるかもしれません。 大豆とダニの両方のアレルギーを持っている人は、全員がパイナップルの酵素に対するアレルギーを示しました。
日本人が毎日使う味噌、醤油にも大豆が使われています。
増量剤、レシチンという形で使われていて、知らず知らずのうちに摂取しています。納豆、きな粉、ゆば、ごまドレッシング、練り物にも入っているので、大豆アレルギーの人は、包装の表示をよく読んで品物を選んで購入してください。
「ひろがる食物アレルギーの不思議」-複雑化する中での対応 松延正之医師著 (まつのぶ小児クリニック開業)本体1238円 芽ばえ社刊
目から鱗が落ちると言いますが、知らなかったアレルギーのことがわかりやすく書いてあります。一読の価値あり。
日本人は1日のたんぱく質の約10%を大豆からとっています。そして、日本人の3大アレルギー(卵・牛乳・大豆)の一つが大豆です。ところが、大豆アレルギーは、アレルゲン成分がはっきりしないのが特徴といわれています。
大豆は、ダニアレルギーのアレルゲン(アレルギー原因物質)と同じグループであり、また、パイナップルの酵素とも同じ仲間だそうです。
*大豆アレルギーの人は、ダニや肉軟化剤を使った肉製品にもアレルギー症状を起こすことも多いので注意が必要です。
大豆製品の中の主要アレルギン量の多い順 | |
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1位 | 大豆種子 |
2位 | 凍り豆腐 |
3位 | 湯葉 |
4位 | 油揚げ |
5位 | もめん豆腐 |
6位 | 豆乳 |
7位 | 納豆、みそ、しょうゆ(アレルゲンを検出せず) |
大豆たんぱく使用加工品のアレルゲン量の多い順 | |
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1位 | ミートボール |
2位 | ビーフコロッケ |
3位 | フライドチキン |
4位 | ハンバーガー、フイッシュソーセージ(アレルゲンを検出せず) |
いずれの場合も、大豆アレルギーのあった方は、少量ずつ慎重に試してくださいね。
大豆アレルゲンをたんぱく質分解酵素で分解できれば、低アレルゲンの大豆が食べられるようになります。(納豆、みそ、しょうゆのように)
アレルゲンのない新品種の大豆も開発され、豆腐の試作中とか言われています。早く市場にでまわり、大豆アレルギーの人も安心して大豆製品が食べられるようになってほしいものです。
天然ゴム製品に触ることにより、じんましん(蕁麻疹、ジンマシン)、ぜん息、重篤なショック症状を15分以内に起こすことをラテックスアレルギーと言います。(接触性皮膚炎とは別の病気)
ラテックスアレルギーは、ゴム手袋などに天然コ゜ムのタンパク質が残っていることでアレルギーを起こすと考えられています。
果物のアレルギーのある人がラテックスアレルギーになることが多く、ラテックス・フルーツ症候群と言います。(ラテックスとフルーツに含まれる成分が交叉反応を起こします)
ラテックス・フルーツ症候群 | |
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ラテックス・フルーツ症候群を起こしやすい食品 | バナナ、メロン、マンゴー、キウィ、アボガド、栗、トマト、じゃがいも |
ラテックス・フルーツ症候群を起こしやすい人 | *赤ちゃんの時におしゃぶりを使った時、ラテックスのアレルギーの抗体ができていた。 *日常的にゴム手袋をよく使う医師や看護師 |
ラテックス・フルーツ症候群の人の注意点 | ラテックス・フルーツ症候群の人が入院・検査などをした場合に、手術用手袋、点滴の管などのラテックスの製品に触れることが多々あるので注意が必要です。 (触った場所が赤く腫れ上がったり、急激な血圧の低下でショック状態になることも考えられます。不安な人は、アレルギー専門医で診察を受けてください) |
体は、外界から身を守るために、異物が侵入してきたら、攻撃して異物を処理し体外に出そうとします。アレルギー物質(卵・牛乳・小麦・大豆)を過剰に取りすぎた場合など、害があると判断し、外に出すために反応しますが、これが、アレルギー反応です。
食物アレルギーの9割は、牛乳、卵、魚、カニ、エビ、ピーナッツ、くるみ、大豆、小麦のたんぱく質が起こすようです。たんぱく質が中途半端に分解された時にできるペプチド(アミノ酸が何個かつながった分子)で、体が異物と感じ、激しく反応します。
食べ物を異物と判断すると、体はIgE抗体を作ります。IgE抗体を作る働きと抑える働きのバランスが崩れるとアレルギーを引き起こすそうです。
IgE抗体を抑える力は、腸に炎症があったり、皮膚に炎症があったりすると弱くなります。そして、異物とIgE抗とでヒスタミンが作られ、咳が出たり、顔の腫れ、吐き気やアナフィラキシー症状が出てきます。
手荒れ、湿疹、傷などが、大敵です。手の先などからIgE抗体が血液に入り、胃腸へと入ってくるそうです。湿疹はできるだけ早く治すことが重要です。
パパイヤから作った洗顔料は、パパインという酵素がアレルギーの原因となっています。
「茶のしずく」石けんには、加水分解小麦が含まれていました。加水分解小麦は、肌をしっとりとさせる効果があります。
この加水分解小麦が皮膚から侵入し、アレルギーを起こしました。
皮膚は免疫の最前線であり、ここから人工の形でいろんな物が入ってくると、すごく危険だそうです。
全ての加水分解小麦がアレルギーを起こすわけではありませんし、また個人によっても違うようです。
ある人の小麦アレルギーの症状は、くしゃみ、目のかゆみ、目の腫れ、蕁麻疹、お腹の痛みなどがあったそうです。
食物で入るより皮膚から入るほうがアレルギーがひどくなることが多いようです。
少しジンマシンが出て、すぐに引いていく程度ならよいが、アナフィラキシー(アレルギーの暴走)は、原因となる物を食べたり、吸い込んだり、触ったり、注射されたりして、突然短時間に全身症状が出ます。血圧がさがり、生命が危険な状態に陥った時は、アナフィラキシーショックと呼びます。
アナフィラキシーの症状 | |
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じんましん | 柔らかい唇などから始まり、ひじの内側やひざの裏にも出る。 白目がゼリー状に腫れることもある。 |
全身のむくみなど | 皮膚の深いところが腫れている。たらこ唇になることもある。 |
嘔吐・下痢など | 食べた直後、味がおかしいと感じる。吐き気が起こり嘔吐する場合も。下痢を起こし血便が出ることもある。 |
咳・ぜん息・呼吸困難 | 鼻や気管の粘膜が腫れて、呼吸が苦しくなる。 |
胸痛・不整脈 | 心臓にむくみを起こすこともある。神経に影響があると、動悸、不整脈も出てくる。 |
頭痛・血圧低下 | 神経の働きに影響を及ぼすと血圧が下がり、めまいが起こる。 |
意識喪失・けいれん | 血圧が下がると意識喪失することもある。 |
死亡 | 呼吸困難、血圧低下などで、最悪の時は死に至ることもあります。 |
食物アレルギーの治療の基本は、アレルギーを起こす食物除去療法が行われます。
しかし、小児などの育ち盛りのこどもたちの場合は、食物の除去と成長に値する栄養素が摂れているか、よく気をつけておくことが大切です。代用食の利用などで栄養バランスを考えて献立・調理をする必要があります。
卵・牛乳を除去する時の注意点
上記の「食物アレルギーの人の食事の注意点」の6.に記しているように、1日の仮性アレルゲンの量が多くならないように気をつけることが、アレルギーの悪化を抑えてくれます。
含まれる化学物質 | 食品 |
---|---|
ヒスタミン | ほうれん草、なす、トマト、牛肉、鶏肉、エノキダケ、発酵食品(パルメザンチーズ、ブルーチーズ、赤ワイン、みそ、しょうゆ)、鮮度の悪い青背魚(サバ、カツオ、マグロ、イワシなど) |
アセチルコリン | トマト、なす、たけのこ、ピーナッツ、里芋、松茸、山芋、そば、くわい、多くの野菜・果物 |
セロトニン | トマト、バナナ、キウィ、パイナップル、メロン、アボガド、プラム |
イノリン | サンマ、冷蔵のタラ、塩漬けのサケ |
トリメチールアミン オキサイド |
カレイ、タラ、スズキ、イカ、タコ、アサリ、ハマグリ、エビ、カニ |
チラミン | チーズ、ワイン、チョコレート、アボガド、プラム、バナナ、ナス、トマト、鶏レバー、ニシン酢漬けなど |
フェニルチラミン | チーズ、赤ワイン、チョコレートなど |
横浜市にある神奈川県立こども病院では、卵アレルギーのこどもに免疫療法を施し、卵が食べられるように治療しています。
生卵の白身を乾燥したものを5mgから5mgずつ増やしていき10分後に口の中が痒かったり、目の縁が赤く腫れたり、蕁麻疹が出たりしたら中止します。
10mgの量でアレルギー症状の出たこどもに対して、1mgを食べさせ30分後に1.2倍の量、30分後にまた前の1.2倍の量と1日に5回行うそうです。このこどもさんは、20日間で卵1個が食べられるようになったそうです。そして、この後も卵は食べ続ける必要があるようです。
IgE抗体のマスト細胞が爆発しない量で、徐々に量を増やしていくと、耐性がついて量を増やしても大丈夫になるようです。
神奈川県立こども病院では、卵、牛乳、小麦、ピーナッツのアレルギーのこどもに免疫療法を施し60人のうち98%が成功したそうです。
素人が行うことは危険ですから、絶対にやめてください。
テレビ番組「世界一受けたい授業」の中で、国立病院機構・相模原病院医師・海老澤 元宏さんが話していました。
外国の女子高生の話ですが、天気が良くてもコートを着なければならない彼女のアレルギーの原因は水分と疑われています。4歳の時に原因不明の湿疹やかぶれが出て検査したら、水道水が皮膚に触れただけで反応が出ました。
彼女はプールに入れない、シャワーは1分以上浴びれない、食事はドライフードが中心、飲み物は100%のオレンジジュースか全乳ミルクという生活でした。
人間の身体は約80%が水分であるため、涙や汗などの自分の水分もアレルギーの原因になる恐れがあり、激しい運動を制限されていました。
現在は塩酸も防ぐ強力なクリームを塗って、水分を避けた生活をしているそうです。2012.3
http://allergy72.jp/?utm_source=AdWords&utm_medium=cpc&utm_campaign=50_con
アナフィラキシーってなぁに?
アレルギー反応が短い時間で全身に激しくあらわれることをアナフィラキシーといいます。つまり、アナフィラキシーはアレルギーの中のひとつのタイプ。まずは、アレルギーがどうして起こるのかを知りましょう。
私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに体内に「抗体」がつくられ、これら外敵をやっつけようとする「免疫」というしくみがそなわっています。
ところが、この免疫のしくみが、食べ物や花粉など私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ!」と過剰に反応して、攻撃をし過ぎる結果、逆にマイナスの症状を引き起こしてしまうのが「アレルギー」です。本来は体を守るはずの反応が、自分自身を傷つけてしまうアレルギー反応に変わるのです。
アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」または「抗原」といいます。花粉、ダニ、ハウスダスト、食物、薬物など、私たちの身のまわりには多くの種類のアレルゲンがあります。どのアレルゲンに反応するかは人それぞれです。
アレルゲンが体内に入ってくると、これをやっつけようと「IgE(アイジーイー)抗体※」というタンパク質がつくりだされます。このIgE抗体は、皮膚や粘膜に多くあるマスト細胞の表面に、まるでアンテナのように張りめぐらされています。再びアレルゲンが侵入してきて、このIgE抗体のアンテナにひっかかり結合したとき、マスト細胞の中につまっているヒスタミンなどの化学物質が一気に放出されて、かゆみなどの症状があらわれてくるのです。
① アレルゲンが口、鼻、目、皮膚などから体の中に入ると、免疫反応により体内に抗体がつくられ、抗体がマスト細胞にくっつく。
② アレルゲンが再度体の中に入り、マスト細胞にくっついた抗体に結合すると、マスト細胞からアレルギー症状を引き起こす化学物質が放出される。
アレルギーにはⅠからⅣまで4つのタイプがあります。アレルゲンが体内に入った直後から数時間以内という短い時間で症状が出るアレルギー反応は、「I型=即時型」というタイプで、代表的なアレルギー疾患である花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などの他、食物アレルギーも主に、この即時型に分類されます。即時型アレルギーの症状が起こるのには、IgE(アイジーイー)抗体が関係しています。